journal, columnmy essentials by Taro Misako

#05 かわいい は かわいい

おしゃれなもの、かっこいいものも好きですが、「かわいいもの」がいちばん好きだということに気付いたのはここ数年のこと。デザイナーならこの名作を持ってないと……みたいな世界から離れて、好きなものを好きなように楽しんでいます。

春にアトリエを構えてからは、もっと自分の好きなものに囲まれたい!という気持ちと、周りに自分好みのギャラリーやお店が増えてきた影響で絵画や版画などに手を出していたのですが、物件の関係で壁に作品が飾りにくくて、次第に部屋に置きやすいオブジェ的な作品が気になるようになっていきました。

今回は、今年新しく仲間入りした、かわいい作品たちを紹介します。
 

hyanahyuさんの「かきもちくん」


福岡で活動するファッションデザイナー・アーティストのhyanahyuさんが生み出した「かきもち」のキャラクター「かきもちくん」。

以前からイラストやLINEスタンプの形で発表されていてずっと追いかけていたのですが、秋に行われた展示のためにぬいぐるみを作っている……という話を聞いて、さっそく入手したのでした。


手作りならではのゆるいライン、穏やかな微笑みがとてもかわいいです。
 

しまうちみかさんのブロンズ像


熊本を拠点に活動する現代美術家、しまうちみかさんの作品。初めて福岡アジア美術館での個展で見たときに「かわいい!」と一目惚れして、その後に別の展示会に並んでいたものをお迎えしました。以前のコラムで金色への偏愛について書いたけど、これも金色ですね。

子供が作ったようなたどたどしい形が、ブロンズというアートの世界での伝統的な素材で作られている価値観のギャップが楽しくて、いい意味で見る人の価値観を撹乱してくれる作品だと思います。

普段はアトリエの玄関にいて、お客さんが来るのを両手を上げて待っています。
 

Vitraの鳥のオブジェ


今回唯一のデザイナーズ作品。パリのRonan & Erwan Bouroullecによる鳥のオブジェです。これは僕の基準だと「かわいい」と「かっこいい・美しい」のギリギリのラインのちょうど真上にいるような形ですね。

素材がガラスと木の2種類あって、ガラスだと少し大人っぽすぎるなと思って木製の方を選びました。少しずつ色が変わっていくと思うので、それも楽しみです。
 

鷽(うそ)のオブジェ


鳥シリーズその2。福岡・太宰府の郷土玩具「木鷽(きうそ)」と、張子職人の松崎大祐さんによる「張子鷽」のコンビです。

鷽は菅原道真公が蜂に襲われたとき、道真公を助けたという言い伝えがあり、太宰府では縁起のいい鳥とされています。

木鷽の方はつり上がった目と、モーツァルトを思い出すようなくるくるカールの羽根(?)がかわいいです。


それを張子にした、松崎さんの省略のセンスはすごい!絶妙なゆるさで、全国にファンがいるのも頷けます。太宰府天満宮御用達の和菓子屋「梅園」さんで不定期で販売されたり、お菓子の詰め合わせの中に入っていることもあるので、気になる方はチェックしてみてください。
 

三浦宏基さんの鳥のオブジェ


最後は鳥シリーズその3、土偶作家の三浦宏基さんの作品。この原稿を書くにあたって、初めて自分の鳥好きに気付きました。背中のドライフラワーがポイントです。


これも鷽と同じ、つり目ですね。鳥って外側の輪郭はかわいいのに、目が笑ってない感じというか、そのバランスもまたかわいいんだなと思います。この作品は色使いのバランスが絶妙に甘すぎなくて好きです。
 

「かわいい」を作ってみる

こんな風にかわいいものを集めているうちに、自分でも作ってみたいと思うように。そんなタイミングでイベント出展のお誘いがあったので、それに合わせて僕がSNSに投稿しているハートのキャラクター「はー」を、家庭用のオーブンで焼ける陶土で作ってみました。

▲そのときに描いた日記イラスト。James Blakeの新譜おすすめです


出来上がったのがこちら。素焼きだけど白とベージュの色がまだらに出て、思ったより雰囲気が出ました。手で描く線と土をこねて生まれる線の違いも楽しいです。


出展したのは本のイベントだったので、本を読んでいる子も作ってみたり。当日は親子連れのお客さんも多く、普段は大人向けのデザインを作っているので子どもたちが「かわいい!」と言ってくれるのが新鮮で嬉しかったです。
 

かわいい は かわいい

雑誌などのメディアを見ていると、「大人の〇〇」「男の〇〇」といった言葉が並んでいますが、WebやSNSが発達したおかげでそうした世界からは距離を置いて、自分の好きな世界を追求したり、シェアしやすくなった気がします。

かわいいものって難しいコンセプトや立場なんて関係なく、ただ「かわいい!」と心が躍り、テンションを上げてくれるのが素敵です。

今年もあと僅かですが、来年も新しい「かわいい」に出会えますように。

(つづく)

 


 

三迫太郎
1980年福岡県北九州市生まれ。福岡を拠点に生活・アート・工芸に関わる分野でデザインワークを行うほか、zineレーベル「10zine」の運営、CINRA「HereNow Fukuoka」キュレーターなど、地域とデザインにまつわる様々な活動に携わっている。doinelのWebデザインも担当。
https://taromisako.com/

 
my essentials by Taro Misako
#01 マイク・ミルズとミランダ・ジュライ
#02 golden, golden, golden……
#03 光を身につける
#04 音楽と暮らす
#05 かわいい は かわいい
#06 おだやかな冬

≫ journal topページ
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Text & Photo:Taro Misako
Edit:Yuki Akase

update: 2021.12.24

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