journal, columnmy essentials by Taro Misako

#04 音楽と暮らす

3年前の今頃は、音楽好きが高じてアイスランドの音楽フェスに参加する旅に出かけていましたが、今は簡単に国外に出かけるのが難しい状況に。そんな中、仕事や移動のときはだいたい海の向こうの音楽を聴いています。

Jónsi、Ólafur Arnalds、JFDRなどのアイスランド勢はもちろん、ここ数年はAdrianne LenkerやPhoebe Bridgers、Mac DeMarcoなど、フォークにルーツを持つアメリカのシンガーソングライターたちに夢中です。

アメリカというとても大きな国の中で、アコースティックギターと歌を使って個人的なことを歌っている様子が、自分の毎日の生活と地続きのように感じられて、リラックスできるからかもしれません。

その中の一人、Billie Eilishはご存知の方も多いと思いますが、彼女の影響で、今年の春からウクレレを始めることにしました。きっかけは彼女が車の中で、The Beatlesの「I will」を弾き語りする動画を観たこと。

ウクレレと言えばハワイアンのイメージがあったけど、10代の若い人がこんな風に気軽に、歌うための楽器として使っているのがとても素敵だなと思って、急に興味が湧いてきました。

とりあえずYouTuberがおすすめしていた5,000円ぐらいの安いウクレレを買ってみたところ、指一本で押さえられるコードがたくさんあって、大昔に挫折したギターに比べてとても簡単に扱えることが判明。買って2ヶ月で新たなウクレレに手を出したのがこちらです。
 

Billie Eilish Signature Ukulele


ビリーのウクレレ!
音がどうこう、とかではなく、完全に見た目から入りました。推し活です。


一般的な木目ではなく、ブラックを基調にビリーのロゴであるピクトグラム「ブローシュ」が並ぶ個性的なデザイン。


ちょっと不気味だけど、離れるとminä perhonenのテキスタイル「tambourine」に通じるかわいさを感じたり、サウンドホールの周りの螺鈿(らでん)の複雑な色味など、モノとしての魅力に負けて購入してしまいました。


持ってみるとこんな感じ。エレキギターで有名なFender製なので、ヘッドもFenderのギターと同じようなデザインになっていて、普通のウクレレと比べると、ちょっと辛口な雰囲気が気に入っています。

何万人もの観衆を魅了するビリーは、いつもウクレレで作曲しているそう。僕は昨年から本業のデザイン業とは少し離れて、ペインティングなどの作品を制作する活動を始めたので、いつか自分の曲も作って披露できたらと思っています。
 

レッスン帰りのお楽しみ

とはいえ、数ヶ月独学で練習してみたところ、上達のスピードが落ちてきたような気がしてきたので近所のウクレレ教室に通ってみることにしました。超初心者なので、今はテキストを見ながらロシア民謡や昭和歌謡を練習していますが、これはこれで昔の曲の素晴らしさを再認識することができたりして、良い時間です。

教室は徒歩圏内にあり、とても便利なのですが、レッスンが終わってビルを出ると、あたりに漂う香ばしい香りに誘われて、斜め向かいのお店に直行するのがお決まり。


福岡の鳥飼という場所にある「トモノウコーヒー」さんです。カップテストを繰り返した、鮮度のいいコーヒー豆にこだわり、店内でローストしています。辺りには香ばしい香りが漂っています。



ずらっと並ぶ豆たち。以前はツヤっとした深入りが好みでしたが、最近は少し軽さも欲しくてエチオピアの中深煎りを良く飲んでいます。


いつも近所の大濠公園を走っている、オーナーの友納さん。普段はアトリエに籠もって誰とも話さない日も多いので、こうしてレッスンのたびにコーヒー豆を買いに行って、友納さんと少しお話して帰るというルーティーンがちょっとした楽しみです。

トモノウさんは、福岡が今のようにコーヒーの街として知られる前からコーヒー豆をローストし続けて、今年で20周年なんだそう!時間の流れの速さにびっくりしつつ、友納さんにお店を続ける秘訣を聞いたら「がんばらないこと!」と即答で返事が返ってきました。

僕も常日頃から「やりたいことは無いけど、やりたくないことははっきりしている」というタイプなので、無理に目標を立てて息切れしてしまうこと無く、自分の好きなことを着実に続けていくスタンスにとても共感しました。
 

音楽の楽しさが2倍に

ちょっと脱線してしまいましたが、今までは「聴く」だけだった好きな曲を、一人で部屋で弾いたり歌ったりすることができるようになると、単純に楽しみが2倍になったような気持ちになれてとても嬉しいです。毎日の暮らしの中に「ちょっと弾いて(歌って)みようかな」という選択肢が生まれるって、すごい変化だなと感じています。

この楽しさをもっとみんなが知ったらいいのに!と思っていたら、コロナ禍で楽器を始める人は世界的に増えているらしく、ライブのできないアーティストたちが自宅で弾き語り配信を始めたことから、特に場所を取らず始めやすいウクレレは、エルビス・プレスリーが活躍した時代以来の大ブームなんだそうです。

この記事を読んで興味を持った方がいたら、ぜひ楽器を手に取ってみてください。聴くだけではない音楽の楽しさを感じてもらえたら嬉しいです。

(つづく)

 


 

三迫太郎
1980年福岡県北九州市生まれ。福岡を拠点に生活・アート・工芸に関わる分野でデザインワークを行うほか、zineレーベル「10zine」の運営、CINRA「HereNow Fukuoka」キュレーターなど、地域とデザインにまつわる様々な活動に携わっている。doinelのWebデザインも担当。
https://taromisako.com/

 
my essentials by Taro Misako
#01 マイク・ミルズとミランダ・ジュライ
#02 golden, golden, golden……
#03 光を身につける
#04 音楽と暮らす
#05 かわいい は かわいい
#06 おだやかな冬

≫ journal topページ
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Text & Photo:Taro Misako
Edit:Yuki Akase

update: 2021.12.10

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