はじめまして。佐藤香菜と申します。コスメの製造や輸入をしている会社のコンサルティングをしています。このコラムでは、わたしの暮らしの中でなくてはならないものと、そのエピソードを綴りたいと思います。
第一回はお洋服について。思い起こせばわたしの洋服好きは幼少の頃から始まり、母の影響も大きかったようです。常に走り回り、木に登り、男の子に混じってサッカーをするようなお転婆娘の代表だったわたしでしたが、母が選びわたしに着せるのは小公女や若草物語の世界のようなお上品なワンピースやバレエシューズ……。腰の後ろでリボン結びするようなワンピースは、やはり幼心にも嬉しく心が躍るものでした。
「良いものは長く着ることができる」は、母がよく言っていたこと。
当時住んでいた名古屋のパルコに入っていた「Bonpoint」のワンピースは決してお安いものではありませんでしたが、わざと大きめのサイズを購入し、しばらく裾を縫い上げて着て、次の年からも縫ってあった裾を下ろしてまた着るという工夫で、背が伸びてあっという間に着れなくなる子供服ならではの問題を解決していたのでした。
そんな経験からか、今でも洋服に関して1シーズンで捨てるようなものは購入することがありません。学生の頃から流行りの服にはあまり興味がなく、今に至るまで、見た瞬間に自分の心が奪われるような一期一会の出会いを楽しみながらショッピングをしています。
中でも最近のお気に入りの「1点もの」をご紹介します。
ルーマニア トランシルバニア 地方の民族衣装ワンピース
ルーマニア トランシルバニア 地方の民族衣装ワンピース。これはウクライナに住むディーラーの方とやりとりし直接送ってもらったもの。しっかりとした厚手の生地に見事に施された首や袖のギャザー、柔らかい色合いでありながら超絶細かい刺繍! ルーマニアだけでなくウクライナの民族衣装でもよくみられる腕の部分のぎっしりとした刺繍、昔は悪魔が腕から入るとも言われていたため、お守りとしての目的もあったとか。
スウェーデンのヴィンテージワンピース
スウェーデンのヴィンテージワンピース。大好きなラベンダーカラーに、チューリップのパッチワークがアクセントに。腰回りはわりとぴったりしているので子供っぽくはなりません。
植物図鑑のような細かい花柄のバッグ
こちらは植物図鑑のような細かい花柄のテキスタイルを縫い付け、花の部分には少量のワタを入れて立体的に仕上げられたバッグ。多色使いなので洋服にも合わせやすいんです。こんなバッグは後にも先にも見たことがありません。
ジャケットになったアメリカンキルト
昔のアメリカのキルトが大好きです。部分的に擦り切れてしまった服や子供の服を分解し、その生地を使って細かく縫い合わせたパッチワークは、SDGsなんて言葉がなかった時代から根付いていたリサイクル・エコな習慣。これはそんな昔の誰かが作ったキルトをジャケットにリメイクしたもの。
キルトをリメイクしたトップス
こちらもキルトをリメイクしたトップス。実は腕まわりのゴムがとてもきつく、くっきり跡がつくほどなのですが、気合で着ています。
毛糸とスパンコールで刺繍が施されたカーディガン
白地のニットは古い日本製、その上の毛糸の花とスパンコールの刺繍は香港で施された、とタグに記載されています。甘くなりすぎないようにダボっとしたデニムに合わせて着ます。オーバーオールなどに羽織っても良さそう。
世界で一つしかない服を着ると、世界で一つしかない自分の個性や好みに改めて気付けたり、結果的に他人の個性も認めるトレーニングにもなっている気がします。ちょっと変わった服を着ていると、友人からナイスツッコミが飛んできたり、時には道端で知らない方から声をかけられたりすることも。民族衣装を着ているときは「それはわたしの国の刺繍!」と海外の方に話しかけられることがあります。
そんな意外なコミュニケーションのきっかけになり得るのが、装い、纏うこと。
洋服を買うときの「うわあ!!これ好き!」という溢れ出る感情は、とても気分が上がるもの。もし服に興味がない人の元で育っていたらもっと貯金できたのにな〜、なんて思ったこともありますが(笑)わたしはこれからも、他の誰とも違う個性的な服を求めてヴィンテージ ハンティングを楽しんでいこうと心に決めています。
佐藤 香菜
Branding Director
世界中のナチュラル&オーガニックアイテムを展開するセレクトショップの立ち上げとディレクターを経て独立。現在はフリーランスのブランディングディレクターとして多数の企業のコンサルティングや製品プロデュースに関わる。世界中のオーガニックコスメやフードを求めて旅する様子は、 NHK総合「世界はほしいものにあふれてる」への2回の出演や、オーガニック製品の魅力&ライフスタイルを楽しむ情報を、本人が実体験に基づく言葉で綴りInstagramで発信している。
my essentials by Kana Sato
#01 誰とも違う服を纏うこと
#02 旅先で出会う、自分へのお土産
#03 柔らかく広がり香るもの
#04 とても大切な、あたたかさ
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Text & Photo:Kana Sato
Edit:Megumi Saito