journal, columnmy essentials by Kana Sato #03 柔らかく広がり香るもの

こんにちは。佐藤香菜です。このコラムでは、わたしの暮らしの中でなくてはならないものと、そのエピソードを綴っています。連載の第三回目は、「やわらかく広がり香るもの」。

わたしの名前の文字、香菜。名は体を表すと言いますが、香りのアイテムが好きなのも、オーガニックコスメに関わる仕事に携わっているのも、なんだか意味深く感じます。自分の五感の中で最も敏感に活動している気がする、嗅覚。以前なにかの記事で読んだことがあるのですが、エベレストのような高山の頂上を目指す登山家は必ずアロマオイルを持参するとも言われています。標高が高くなればなるほど植物も動物も生息しておらず、それは「無臭」であることを意味します。なにも香りのない場所で長く生活すると、自分のメンタルバランスを保つことがとても難しくなるのだとか。そんなときにアロマオイルの蓋を開けて香りを嗅ぎ、植物を感じるということは、もう想像しただけでも安心感が……。

香り=命の象徴。生きているものからしか発せられない、強い魅力があります。
今日ご紹介するものは、わたしの生活の中で特に思い入れのあるラインナップです。

 

アントニアズフラワーズ ティエンぺ パッサテ

今はなくなってしまったNYのブランド。実はこの香りを初めてかいだのは中学生頃のこと。母が立ち寄るとあるセレクトショップで、テスターを試すのが好きだったわたしは深くウッディで甘みもあるこの香りに強く惹かれました。お値段もなかなかのもので中学生が購入するようなものではなかったのですが、数年前にふと思い出して購入しようと調べると……2019年にブランドが廃止になっていました。結局オークションサイトで見つけて購入。後でわかったことなのですが、このティエンぺ パッサテという言葉は「懐かしい時代」という意味だそう。文字通り、わたしの懐かしい時代の香りでもあったのでした。

 

WienerBlut EX VOTO


この香りを試したとき、いつもヨーロッパに旅行すると教会を見つけては中に入り静かな時間を過ごしている自分を思い出しました。そう、まさに教会を感じる香り。とても静かで、厳かな、それでいて包み込まれる安心感があります。

これも後でコンセプトを読んで驚いたのですが「オーストリア帝国の祭日でもあった聖体祭へのオマージュ。暑い夏の日にあっても涼しく静寂に包まれた、石の大聖堂の秩序をもたらします」とのこと。本当に教会の香りをイメージしたものだったのです! 樹脂とスパイスが天高く立ち上っていくような、素晴らしい1本です。

▼WienerBlut / EX VOTO 100ml
https://doinel.net/product/110398633

 

HETKINEN Forest Riot


例えるならば「朝の目覚め」「新鮮な花々が並ぶ花屋」「雨が降った後の澄んだ空気」そんなイメージ。どこまでも透明感のある香りは、わたしのリコメンドにより友人も多数購入していました。香りを試した瞬間、友人たちは目を輝かせながら「わあ!これ好き!」と虜になってしまうのです。きっと誰もが鼻で覚えている幸せな記憶が蘇ってくるはずです。

▼HETKINEN / Fragrance Forest Riot 30ml
https://doinel.net/product/166673396

 

パームオブフェロニア Grounding Bath Oil


香りはお風呂の時間にも欠かせません。このオイルを湯船に5プッシュくらい入れて湯気とともに芳香を楽しみます。このオイルにはトルマリン、マデイラクオーツ、イエロージャスパーの天然石が入っており、目にも美しく気持ちが高まります。ベチバーやシダーにオレンジが加わったアロマは、深呼吸したいときに最適です。

▼Palm of Feronia / Grounding Bath Oil 100ml
https://doinel.net/product/166615003

 
 
花と鼻、同じ音を持つのは偶然なのかな? と調べたことがあります。茎の先に花は咲き、顔の先端に鼻が出ているという点で、どちらも共通しているのは先端に位置しているということです。さらに物事の最初を「しょっぱな」などと言いますし、やはり最初・始まり・先端をイメージさせます。

昔の日本人は植物も人間の体も同じものとみなして言葉を紡いでいったため、語源が繋がっているのだそうです。その感性の美しさに感動してしまいます。

この文章を書いていて改めて気づいたことですが、香りについて伝えようとすると具体的な情景の「例え」が欠かせないのです。人はなにかを伝えたいと思ったときに、文字にし、音楽で奏で、歌い、踊り、描き、自分にできる様々な方法を通して表現してきましたが、きっと香りを纏うこともその一つ。

自分の記憶と再会し、新しい自分にも出会い、これからも香りとともに生きていきたいものです。

 


 

佐藤 香菜
Branding Director
世界中のナチュラル&オーガニックアイテムを展開するセレクトショップの立ち上げとディレクターを経て独立。現在はフリーランスのブランディングディレクターとして多数の企業のコンサルティングや製品プロデュースに関わる。世界中のオーガニックコスメやフードを求めて旅する様子は、 NHK総合「世界はほしいものにあふれてる」への2回の出演や、オーガニック製品の魅力&ライフスタイルを楽しむ情報を、本人が実体験に基づく言葉で綴りInstagramで発信している。

Instagram:@kana__sato622

my essentials by Kana Sato
#01 誰とも違う服を纏うこと

#02 旅先で出会う、自分へのお土産
#03 柔らかく広がり香るもの
#04 とても大切な、あたたかさ

≫ journal topページ
https://doinel.net/journal


Text & Photo:Kana Sato
Edit:Megumi Saito

update: 2022.12.01

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