“objects” – アートやオブジェなどのように、生活必需品ではないけれどあるとなんとなくうれしいもの。“objects” が身近にある暮らしやお仕事の様子を、ヘルシンキのアーティストやデザイナーの方々に伺いました。
3人目はフィンランド国内をはじめ世界中で活躍中のイラストレーター、Matti Pikkujämsä さんです。
Profile / Matti Pikkujämsä
イラストレーター、アーティスト。新聞、雑誌、絵本のイラストを担当する他、マリメッコやラプアン カンクリなど、テキスタイルのデザインも手がけている。2014年から始めたオリジナルのポートレート画がフィンランドや日本で人気を博しており、ライフワークの一つとなる。2013年にはフィンランド児童文学に関するルドルフ・コイブ賞を受賞。2015年フィンランド国家芸術賞 (イラストレーション部門) 受賞。
2018年 6月 MUJI BOOKS より共著「CupOfTherapy だいじょうぶ。」刊行。
https://mattipikkujamsa.tumblr.com/
イラストレーターになったきっかけ
マッティは、幼少時代をヘルシンキから約600キロ離れたフィンランドの北部にある、リミンカという小さな田舎町で育ちました。「子供の頃は、絵を描いたり、工作したり、本もたくさん読んで過ごしました。叔父が紙工場で働いていたこともあり、家にはいつもたくさんの紙があったのです」。
小さな頃からアートに興味があったマッティ。歳が近い妹のカイサとよく一緒に絵を描いていたのだそう。高校卒業後、ふたりとも美術大学に進学し、マッティはグラフィックデザイン、妹は空間デザインを勉強しました。ふたりは仲がとてもよく、今ではカイサはマッティの仕事を手伝っています。
大学在学中からフィンランドの大手新聞社、ヘルシンキサノマットのイラストを描き始めたマッティ。現在でも毎週日曜日のコラムのイラストを担当しています。マッティのイラストは、新聞の他にも、ポストカードや絵本でもよく目にします。どこか懐かしい感じがする、ユーモアが混じった温かいイラストは、フィンランドの人には親しみのあるイラストで、日常風景によく馴染んでいます。
人生において、最も影響を受けたのはマリメッコだというマッティ。12歳でマリメッコのファンになって以来、ヴィンテージファブリックを集め続けています。ウニッコの生みの親であるマイヤ・イソラのデザインが特に好きで、ほとんどの全てのデザインをコレクションしているほど。いつしかマリメッコにデザインを提供することを夢見ていたマッティは、テキスタイルを学ぶことも考慮に入れていましたが、イラストレーションにも興味を持っていたため、グラフィックデザインの道へ進みました。
2014年、マリメッコでマッティの提案したデザインが採用され、長年の夢が叶いました。自宅にある一番の宝物はマリメッコの創立者、アルミ・ラティアが所蔵していたビルゲル・カイピアイネンの大きな陶器レリーフで、リビングの中央に大切に飾ってあります。
≫(2)好きなものに囲まれて暮らす
≫(3)ただそこにいることを楽しむ空間
≫(4)愛すべき仕事
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photo: Chikako Harada
edit & writing: Eri Shimatsuka