
Wildness And Sophistication
洗練されたフォルムに野生的な素材感。土の質感や釉薬の表情、焼成による痕跡をダイレクトに伝える、鹿児島を拠点に制作を行う陶芸作家 野口 悦士(のぐち えつじ)さんによる作品です。
既存の形式や習慣にとらわれない広い視点でつくられる野口さんの器は、プリミティブで力強く、それでいて古さを感じさせないモダンな印象。地域や時代を超えた存在感をまといながら、生活に馴染む簡素な佇まいです。
料理を盛り付けた時、あるいは花を入れた時に完成する、と話す野口さん。土と釉薬というシンプルな素材に向き合いながら、様々な試みや作為を巧みに加え、独自の作品に焼き上げていることが伝わります。
土の流れに沿うように突き出た注ぎ口が美しい「片口」。凹凸のあるフォルムが色と質感のおもしろみを引き立てます。
「8寸リム平皿」は、土の質感や釉薬の表情、焼成が器に残す偶然の痕跡が、視覚だけでなく手触りからも感じられる大きめの器。表情を生かした余白のある盛り付けも楽しみです。
つややかな白い表面の奥にうっすらと透ける土の存在を感じられる、「そばちょこ」や「ボウル」、「5寸鉢」。独特の質感と共に日常的な使いやすさも兼ね備えたシリーズです。
古代の発掘品のような複雑なテクスチャーの「小壺」。焼成を複数繰り返すことで生み出すという緑青のような表情が、小さくても存在感のある作品です。