やさしい揺らぎのある、のびやかで曖昧な曲線。他にはない風合いを持ちながら主張しすぎることのない、陶芸家 横山拓也（よこやまたくや）さんによる器です。

器に素材の感情が響くよう、その声に耳を傾けるように制作をしているという横山さん。黒土に化粧土を塗り固めていくという、粉引を独自に展開した手法による作品は、白い肌に細かなひびが入り、薄っすらと黒い素地が透けて見えます。持ち上げると心地よい重みが指先に伝わりますが、どこか柔らかな手触り。ひとつひとつが曖昧な輪郭線を持ち、控えめな余白を持ち合わせています。

鉢は、食卓から反るようにスッと立ち上がる美しい扇形が特徴。汁物もしっかりと受け止める形状で、品よく洗練された盛り付けに見せてくれます。日常の料理だけでなく、季節の果物を盛ってテーブルに置いておくだけでも様になる佇まいです。

食卓から立ち上がる美しい台形フォルムの蕎麦猪口。湯のみや茶杯として、また副菜を盛り付ける小鉢として。一つあると重宝する使い勝手のいい器です。

すっきりと水平に広がるフォルムが気持ちよい7寸 フラット皿。料理を美しく見せる少しだけ高めの高台も横山さんの意図によるもので、テーブルに落ちる影もまた新たな景色を生み出します。完璧なフラットではなく、中央に向かって優しく湾曲しているため、日常的に使いやすいのも魅力。

やさしい揺らぎのあるフォルムの杯。フチが描く曖昧な曲線もまた、横山さんのものづくりを象徴するディテールの一つです。お酒を嗜むのにはもちろん、小さな花を飾ったり、発想次第で自由にお使いいただけます。周りの風景に穏やかに調和する様子をお楽しみください。