
Touch of White
薪窯の火や灰がもたらす予期せぬ味わいを生かした多様な表情の白磁。陶芸作家 小泉敦信(こいずみあつのぶ)さんの作品です。
特に磁器の焼成は難しいとされる薪窯での制作に向き合っている小泉さん。「簡素ではあるけれど、情感のある器」を志した作品は、薪窯の火や灰がもたらす予期せぬ味わいが魅力。中国や李朝の古い陶磁から影響を受けたという骨董のようなたたずまいの中にも、たっぷりとした曲線と切れのよいエッジのバランスなど、独自の細やかな感覚が新鮮で現代的な趣きを添えています。
理化学用のフラスコを彷彿とさせる独特のフォルムと、白磁の上品な雰囲気とのバランスが新鮮な「白磁三角フラスコ」は小ぶりながらも存在感のあるアイテム。花を入れて飾るのはもちろん、酒器としてなど思いつくままに楽しむことができます。
「白磁曽呂利」は、流れるような曲線が美しい花入れ。重心が低く安定感があるため、華奢な佇まいながら活ける花をしっかりと受け止めます。つやのある白磁部分と焼き〆部分の質感のコントラストもささやかなアクセントに。
直径 27.5cm とたっぷりとした大きさの「白磁 9寸リム皿」は、盛り付けの映える1枚。傾斜したリムは汁気のあるものも受け止め、余白に見える白磁の柔らかな表情が料理を引き立ててくれます。しっかりとした高台付きで、シンプルながら食卓の主役となる存在感のリム皿です。
数種類の土や釉薬を使い分けることで、同じ白磁の中でも微妙な表情や質感の変化を生み出しているという小泉さん。素材と火に実直に向き合いながら、品のよい清らかな印象と、素朴な親しみやすさを兼ね備えた器を焼き上げています。