
Carved Out Form
手で削り出すやわらかでたっぷりとした、どこかほほえましいフォルム。漆のやさしい色味も新鮮な、木工作家 岩本忠美さんによる木材を削り出して作られる作品です。
分業が基本の漆器制作の工程において、木地から塗りまでの作業を一貫して行う岩本さん。「刳りもの(くりもの)」と呼ばれる技法を用い木工旋盤を使わずにひとつひとつ削り出されるフォルムは、手なじみよくやわらかであたたかみのある佇まい。
艶やかという漆の概念を覆す落ち着いたマットな質感は、和洋問わず様々なものを受け止め、日々の食卓や空間に美しく調和します。
漆器には珍しい大ぶりのサーバーは、丸みを帯びた優しい曲線が魅力。コーヒードリッパーを組み合わせてもお使いいただけます。太く存在感のある取っ手もポイント。取っ手部分も胴部と一体の木材から刳り出されています。
ピンクのニュアンスが感じられる、新鮮な明るいブラウンは「とき色」と名付けられました。白いお皿で漆の調合をする際に、混ぜ合わせた直後の淡い色が印象深いそうです。やわらかなフォルムの横手の急須は控えめな注ぎ口がついた愛らしいデザインで、付属の茶漉しを入れて使う機能的な設計です。
使うことで光沢を帯び明るい表情へと変化し強度も増していく、日常の器としての漆器。長い時間をかけて、美しいエイジングをお愉しみください。