Timeless And Nostalgic
時代や地域を自在につなげて、すべてを穏やかにまとめるような器。陶芸家 安齋新・厚子(あんざい あらた・あつこ)さんによる作品です。
料理が盛られたり、花が生けられたりした時に完成することを意識をして、ものづくりを行う安齋さん。全体のフォルムだけでなく、縁や裏のつくりなど、細部まで大切にこだわり作られています。
作品作りにおいて、古い/新しい陶磁器、東洋/西洋のモノ、音楽、建築、車のデザインなど、あらゆるものから影響を受けているという安齋さん。朝鮮の陶磁器や西洋の古物を彷彿とさせるエッセンスを織り交ぜながら、現代的な造形に昇華させた意匠を感じます。
柔らかな白を出すために粉引で作られた「紅毛手印判コーヒーC / S」。流れた跡を留める釉薬の上に、濃淡のゆらぎのある印版の柄が重なる楽しいセットです。
土の柔らかい表情が全体を覆う「米色青磁オーバル皿」。酸化によって黄褐色に焼きあがった青磁を、稲穂の色にたとえて米色青磁と呼びます。ゆらぎのあるフォルムと釉薬の溜まりも相まって、古いヨーロッパのプレートのような素朴な趣きがあります。
少し緑がかった青磁が、朝鮮の陶磁器のような印象を与える「青磁なます7寸皿」。釉薬の濃淡と、フチを飾る穏やかな凹凸による陰影が、優しい表情を生んでいます。
お二人の累積した経験によって生まれる、多国籍にも無国籍にも感じられる作品は、ニュートラルでおおらかな雰囲気を纏って食卓に並びます。