Graceful Lightness
真鍮や銀の鈍い輝きと深い漆黒の色をまといながらも、紙のような軽やかさで自在なフォルムを描く器。漆芸作家 安西 淳(あんざい じゅん)さんによる乾漆の作品です。
主に漆と布を重ねて造形する乾漆(かんしつ)という技法で制作を行う安西さん。草花を生けられるような花器を漆で制作したいと思ったことがきっかけで、自由な造形ができる乾漆の作品を作り始めました。
一般的には麻布を用いる乾漆ですが、安西さんは綿布を用いて、ごく薄い造形を実現しています。
安西さんの乾漆作品に触れてみると、手に持った時の収まり、軽さ、水を張った時の重みと表面の景色など、隅々まで美学が行き届いているのが伝わってくるようです。
そのまま並べるのはもちろん、直接水を入れて花器としてもお楽しみいただける壺。道端の野草をいけてみたり、浅い壺には水を張って葉を浮かべても素敵です。
月の表面のようなテクスチャーが印象的な銀彩の皿。細かい箔をランダムに乗せることで、二つとない表情が生まれています。食器としてお使いいただける他、植物を添えて飾るのもおすすめです。
静謐な美しさを保ちながら、現代の生活に寄り添う親しみやすさも感じられる安西さんの漆器。使って慣れ親しんでいくのが楽しみな器です。