Makes You Want To Touch It
思わず手を伸ばして触れてみたくなる、ずっしりとした球体のガラスと天然の石を組み合わせたオブジェ。ガラス作家、遠藤章子(えんどう しょうこ)さんによる作品です。
原型から石膏型を作成し、電気炉の中で雌型にガラスを鋳造するキルンキャスティングという技法を用いて制作を行う遠藤さん。電気炉から取り出した後に石膏型からガラスを割り出し、その後は必要に応じて削ったり磨いたりと手を施し、一点一点を仕上げています。
「ガラスはただそこにあるだけで、魅力のある素材」という考えから生まれる作品は、いずれも強い表現ではなく、控えめな美しさを放つもの。
道端に落ちている丸まった葉っぱのような、自然物に似た佇まいを感じる「ふれるかたち – つつむ」。厚みにより濃淡がつく淡いグレーのガラスが、微かなグラデーションを作り出しています。
ゆらぎのある輪郭で形作られた「やわらかな環」。ほのかに黄味を帯びたやさしい色合いのガラスが、ふしぎな浮遊感を際立たせます。
自然と手が伸び、触れてみたくなるような質感とフォルムの作品は、鑑賞者の純粋な心の機微を受け入れるぬくもりを宿しています。