
Fleeting Colors
やわらかに重なる色と手描きのような軽やかなフォルムが、絵の中のような浮遊感を感じさせる器。陶芸作家 齋藤一(さいとう まこと)さんによる作品です。
幾重にも感じられる繊細な色の層が、薄手に仕上げられた曖昧さのあるフォルムに調和している齋藤さんの作品。その工程は、半磁器土(磁器と陶器の中間の性質の白い土)を主にろくろで成形した上に、顔料を混ぜた泥状の磁器土をまとわせて、素地の色を一旦完全に消していく作業から始まります。
さらに色同士の単純な重なりだけではなく、釉薬と顔料の反応による色の変化も考慮しながら、融点の異なるガラス質の釉薬を刷毛で重ね、2度の焼成を行うことで、重層的な独特の色調を生み出していきます。
独自に到達した名前のない彩色方法によって、「やきもの」らしさから印象を遠ざけ、他にはない抽象的な存在感を実現しています。
手に取った時の穏やかな重み、指先から伝わる繊細なマチエールや、光を鈍く反射するマットな質感も印象的な齋藤さんの作品。独自に追求した美しさが重なり合って生まれる佇まいは、そっと置かれた様子が目に留まるだけでも、見る者それぞれの心象に呼応します。
視覚的な魅力だけでなく、軽やかで日々手に取りやすく、薄手でありながら不安なく使える齋藤さんの作品。料理やフルーツの盛り付けなどはもちろん、インテリアとして置いておくだけでも映える存在感です。
◯ 齋藤一さんの全ての作品はこちらからご覧ください。
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