外苑前 doinel にて、平澤まりこ 作品展 “小さきもの 大きなひとつとなりて” を開催いたします。
イラストレーターや版画家、またエッセイストとして多岐に渡る分野で活動する平澤まりこさん。広告や書籍、商品パッケージなどのイラストレーションを手掛けながら、近年ではモノタイプの手法による1枚きりの版画「描版画」を中心に個人的な表現にも力を入れる他、陶芸などの新しい素材や手法にも意欲的に取り組むなど、創造の幅を広げています。
本展では「描版画」を中心に、その世界観を展開。平澤さんの「描版画」は 1枚しかできない版画「モノタイプ」に分類され、直接絵を描くのに近しい手法で表現されています。作業を行うのは、かつてパリに存在し、ピカソやシャガールなどが通ったといわれる版画工房「アトリエ・ムルロー」から引き継がれた歴史あるプレス機。現在も実働している貴重なそのプレス機のある工房に通い、制作をしています。
描版画では動物の姿などを通じて、内面で響き合うような抽象的なものを描き出しているという平澤さん。
版面全体に塗ったインクを布で拭き取ることで現れる線には柔らかな奥行きが宿り、心象風景のような輪郭を生み出します。何色とも形容しがたい絶妙な色合いは、刷り師の方にイメージを伝えて都度インクを調合してもらうという、その時にしか出会えない色。
作品展 “小さきもの 大きなひとつとなりて” の作品は、そんな線や色に想いを重ねながら、世界を曇りのないまなざしで汲み取ろうとする平澤さんの手によって、一つ一つ描き出されました。
冬の季節、心の中に誰もが持つ温もりを灯火のように照らしてくれる作品を、この機会にぜひご覧ください。
平澤まりこさんより、本展によせて
“小さきもの
大きなひとつとなりて”
大きな山を望みながら
ある朝、ふと思った
いま立っているこの大地は
おおらかな曲線を描いて
あの山へと続き
そこへ連なる木々も
隣にいる愛犬も、私も
みな繋がっているのだ、と
そう思ったとたん
山の抱く雄大で温かなものが
私のなかへと
惜しみなく流れ込んできた
ひとつなのだと思った
目にするもの
触れあうもの
愛おしいもの
時には相反するもの
それらも全てひとつ
思い出したら
心がしっとりと緩んで
伸びやかな自分に戻っていった
小さきものたちの
大きなひとつを描きたいと思った
平澤まりこ
▼ 展示会概要
平澤まりこ 作品展
“小さきもの 大きなひとつとなりて”
会場:doinel (ドワネル) 東京都港区北青山 3-2-9
会期:2021年 12月 4日(土) – 12月 14日(火)
営業時間:12:00 – 19:00 水曜定休
◯12/2(木)・12/3(金) は展示会準備のためお店をクローズします。
◯会期の途中より、一部 online store でも展開予定です。
▼平澤まりこさんへのインタビューを掲載中。ぜひあわせてご覧ください。
https://doinel.net/journal/21392
平澤 まりこ(ひらさわ まりこ)
イラストレーターや版画家、またエッセイストとして多岐に渡る分野で活動する平澤まりこさん。セツ・モードセミナー卒業後にイラストレーターとしての仕事をスタートし、2002年に初の著書を刊行。その後さまざまな連載やエッセイなどを刊行しています。『イタリアでのこと』(集英社)、『旅とデザートときどきおやつ』(河出書房新社)、小川糸氏との共著『ミ・ト・ン』(幻冬社文庫)など。
広告や書籍、商品パッケージなどのイラストレーションを手掛けながら、近年ではモノタイプと言われる版画を中心に個人的な表現にも力を入れている平澤さん。陶芸などの新しい素材や手法にも意欲的に取り組むなど、創造の幅を広げています。
https://www.instagram.com/mariko_h/