Obsession with Volume
おおらかなボリューム感、素朴さのある質感と品のあるゆらぎの魅力的なバランス。陶芸家 故金あかり(かるがね あかり)さんの作品です。
展覧会で沖縄のパナリ焼きの壺を見たことをきっかけに、その焼き物の温かさや、どっしりと佇む姿、風合いに感銘を受けたという故金さん。後に岐阜県多治見市へ引っ越し、パナリ焼きの写しから始まり、現在のような作品を作るようになったといいます。
故金さんのその時の感覚で塗り重ねられた色彩と、ふっくらとしたフォルムが空間に調和し、穏やかな空気をつくりだす「壺」。
様々な色彩が複雑に重なり合い唯一の表情を生む、化粧土仕上げの壁掛け作品 「mado 4」。オーバルの半球状フォルムに素朴さのある風合いの組み合わせが、宇宙的な雰囲気も漂わせます。
印象派の絵画のような、大胆かつ生き生きとしたタッチと、自然物を想起させる粗いテクスチャー。すでに知っているものを眺めているような、淡い親近感を抱かせる作品です。
土のおおらかな風合いが全体を覆う「片口」。じっくりと眺めていると、輪郭の揺らぎ、釉薬の流れ、微かな色や質感の違いなど、ひとつの器に豊かな世界が詰まっているのがわかります。
豊かな膨らみとしっとりとした質感で、手のひらに吸い付くように収まる心地よい重み。日常に自然と馴染む佇まいです。