Glass Like a Thin Cloth
ガラス作家 有永浩太さんによる、まるで薄く繊細なガーゼを閉じ込めたようなガラスプレート。
ドイツ語で綿糸の薄布を意味する “gaze” と名付けられたシリーズのガラスプレートは、その名の通り透けるような繊維を思わせる仕上がり。
伝統的なヴェネチアンガラスのレースグラスの技法を用いて、有永さん独自のアレンジで作られる gaze シリーズ。大きく渦を巻くような、軽やかな羽のような表情は、偶然性を孕む作業工程から生まれる二つとないものです。
糸を紡いで布を織り上げていく織物工程の膨大な時間と、瞬間的にかたち作られる吹きガラス、相反する二つの「時」の流れを内包する作品です。
織物のように連続する模様がガラスによって紡がれる “羅布文” シリーズ。レースを折り重ねたような繊細なテクスチャーをガラスで精緻に表現したゴブレットは、そのシルエットの美しさにも目を奪われます。
墨色の濃淡が一層存在感を引き立てる特別な大鉢。ごく繊細で密度の高いレースとクリアなガラスの切り替えは、不思議な浮遊感を感じさせます。