2024年9月13日(金)より doinel にて、金沢を拠点に活動する陶芸家、中田雄一(なかた ゆういち)さんの作品展を開催いたします。
慣習や文化の成り立ち、その背景に関心を寄せてきたという中田さん。国や地域によって異なる感覚、時代によって生まれる認識の違いが引き出してきた美しさが、人を介して繋がっていることにおもしろさを感じると語る中田さんの作品は、柔らかい白色やおおらかな絵付けなど、のびやかさに満ちた印象。手に取る人の個々の記憶に結びつき、それぞれに親しみを感じさせる佇まいです。
「55のマグと22の絵皿」という謎かけのようなタイトルに含まれているのは、上下に配置すると鏡写しのような形の「22」と「55」。ろくろ作業中に水に濡れた土に映る自分の姿も重ね合わせています。土地や文化、あらゆるものを区別する境界を疑い、合間に心を寄せ、あわいの存在に想いを馳せる、中田さんの視点が表れています。
現代ではコーヒーのイメージが強い取っ手付きのマグは、中世ヨーロッパでは主にお酒を飲むための器でした。中田さんはマグに対して、歴史の中で本来の意味目的を印象が追い越すことのおもしろみを感じていると言います。そして容量分がそのまま体内に取り込まれるという、お料理が盛り付けられる器とは異なる関係性。自分専用のものとして選ばれることの多い、よりパーソナルなコミュニケーションを経て個々の手元に辿り着く存在でもあります。
16-18世紀頃の、ものが用途を主軸として作られている時代に惹かれているという中田さん。自身の工房に並ぶ古い時代の家具やオブジェには、本来の目的から切り離された場所でどのような作用を生むのかという興味があるそうです。歴史の隅に想いを馳せ、そこを起点としたストーリーを描くようなものづくり。手に取る人それぞれの記憶と歴史に繋がっていく器です。
中田さんより、本展によせて
生活空間を基軸にしながら様々な素材や国籍を限定することなく紹介し続ける doinel。
本展では、マグというひとつの器の形を介して、
使う-飾る/昔-今/働く-休息/印象-体感/あなた-わたし/右-左/………
考え方や感じ方、空間全体と人の輪郭が柔らぎ、より親密でより特別でいてあたりまえの何かに繋がっていくよう心にとめて。
マグや絵皿はもちろん定番の器やカップなどが並びます。
中田雄一 作品展「55のマグと22の絵皿展」
会場:doinel (ドワネル) 東京都港区北青山 3-2-9
会期:2024年 9月 13日(金) – 9月 24日(火) 12:00 – 19:00
※最終日 9月 24日 は 17:00閉店
<中田雄一さん 在店予定>
9月 13日(金) 12:00 – 19:00
※在店日時は予告なく変わる可能性がございます。あらかじめご了承ください。
◯ご来場前にご一読ください。
・状況により店内の入場制限を行い、整理券を配布する可能性がございます。
・作品の購入制限を設けさせていただくことがございます。
・展示作品のお取り置き、ギフトラッピング、ご配送は承れません。
・お支払い方法は現金とクレジットカード、QR決済、交通系電子マネーなどがございます。
◯ 9月 12日(木) は設営のため休業いたします。
中田雄一(なかた ゆういち)
1980年北海道生まれ、金沢を拠点とする陶芸作家。東北芸術工科大学と金沢卯辰山工芸工房にて陶芸を学び、現在は白釉と色絵を基軸に制作を行なっています。
慣習や文化の成り立ち、その背景に関心を寄せてきたという中田さん。国や地域によって異なる感覚、時代によって生まれる認識の違いが引き出してきた美しさが、人を介して繋がっていることに面白さを感じると語る中田さんの作品は、柔らかい白色やおおらかな絵付けなど、のびやかさに満ちた印象。手に取る人の個々の記憶に結びつき、それぞれに親しみを感じさせる佇まいです。
土の質感と、焼成することで生まれる味わいをそのまま伝える表情豊かな器たち。会うことのない誰かの手に届くほど長い距離で形を保ち、可愛がってもらえるものをつくりたいという中田さんの作品には、属性や境界線を超えた根源的な美しさや温もりが宿り、説明をせずとも心を惹きつける不思議な魅力を放っています。
https://www.instagram.com/bibaiumare/