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Eleanor Pritchard Interview

2015.12.02

基本 RGB

Eleanor Pritchard

イギリスのテキスタイルデザイナー、Eleanor Pritchard(エレノア・プリチャード)。
自由さを感じる彼女のデザインの根底にはミッドセンチュリーの美学や哲学に影響を受けた背景、イギリスの伝統的なテキスタイルを今の時代に合わせて再解釈するなど、彼女が培ってきた知識やセンス、色彩感覚が生かされています。見る者を強く惹き付ける織物の背景をさらに探るべく、ご本人にインタビューを行いました。

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- テキスタイルデザイナーになったきっかけを教えて下さい。
私は幼少の頃から何かしら物を作ることが好きでした。20代中頃、アートカレッジに入学して織物について学ぶようになったのですが、たちまち「私が求めていたものはこれだ!」とその世界に魅せられてしまいました。ファブリックを創り出すまでのアイデアや行程がとても魅力的に感じられたのです。

- デザインのインスピレーションはどこから受けますか。
日常生活の中の何処かしこからと言えるかもしれません。気づかないうちについつい色々なパターンや模様に目がいってしまいます。例えばガソメター*が並んだ景色だったり、建物のブロックだったり。
Eric Ravillious、John Piper 、Ben Nicholsonなどのイギリスの中世絵画からも影響を受けていますね。

*ガソメター(Gasometers):
約180年前に英国で発明されたガスを蓄える大型タンクの事。主に円錐型の鉄骨製の骨組みと伸縮自在のタンクでできています。タンクを支える骨組みも装飾が施されるなど建築物としての評価も高いものでした。日本では “ガスタンク” などの名称で呼ばれています。

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- テキスタイルを作る上でのこだわりはなんですか。
じっくり向き合うことが大切だと思います。織物製作の過程にはそれぞれ必要なペースやテンポがあって、焦ってはいけません。製作するにあたって正しい構成にするための膨大なプランニングや緻密な計算も必要です。と、同時に色合いやテクスチャーに対する強いこだわりも必要になってくると思います。

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- 他のブランドへのデザイン提供などもされていますが、自身のブランドとの違いはありますか。また、そこから何か影響を受けていますか。
他社ブランドや企業とコラボレーションする際はとても慎重に考えています。美的感覚や企業哲学などの点でも真に相互に理解し合え、親しい関係を築ける相手とのみ一緒に仕事をするようにしています。
長年一緒に仕事をしているマーガレット・ハウエルのようなブランドとは本当に友好的な関係を築けています。
他社ブランドのために制作するデザインであっても、それは私自身のオリジナルデザインと同様、コラボレーションをうまく展開していくためにプロジェクトに関わる人たちとのコミュニケーションを非常に大切にしています。

- ご自身はどのようにテキスタイルを日常に取り入れていますか。
私のワードローブはほとんどがとてもシンプルで機能的なものばかりです。コットンドリル*やデニムやコーデュロイ、ウールやコットンのシンプルなチェックやストライプ柄など本当に実用的なものが好きですね。
自宅ではベッドカバーとして私がデザインしたブランケットを使っています。また家のソファーの一つを私がデザインした’Bilsdale’ファブリックで張替えをしたところです。全体的にわが家はごくシンプルなので、私のデザインしたテキスタイルを加えることによって、パターンの要素をちょっとしたアクセントにするのがとても好きなんです。

*コットンドリル(Cotton drill):
古い軍物や作業着などに使われる、厚手で耐久性のあるチノクロス。イギリスではコットンドリルと呼ばれています。

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- 好きな伝統的、もしくはクラシカルなパターンはありますか。
シンプルなチェックやストライプの織物に惹かれます。インディゴ染も好きなのですが、まだ自分の作品でインディゴ染めの羊毛で織ったことはありません。

- ご自身のデザインを確立するまでにはたくさんの試行錯誤を繰り返されているかと思いますが、好きな古典柄や最初に参考にしていた織柄などはありますか。
ウェールズ地方のダブルクロスやスコットランドのツイードのような英国発祥のきわめてシンプルで伝統的な織物技術にとても興味を持っています。
私の作品もこういった伝統技術を参考にする一方で、年月をかけて私自身の美学を元に昇華させてきました。時が経つにつれて私のデザインの多くはどんどんシンプルになってきている気がしています。デザインを初めた当初はたくさんの色やディテールをデザインの中に組み込もうとついしてしまっていましたが、今は素朴でシンプルであればあるほど美しいと思うようになりました。

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- 今後どのようなことにチャレンジしてみたいですか。
サフォーク州とウェールズ地方の羊からとれる未染色の羊毛を使った織物のデザインを制作しているところです。それぞれの自然の羊毛の色合いの絶妙な美しさが素晴らしいのです。

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<Eleanor Pritchard(エレノア・プリチャード)>
大学で歴史学を学び、出版の仕事を経て、織りを学ぶためアートカレッジへ再入学。その後ロンドンに自身のスタジオを構えました。ロンドンにあるスタジオで全てのデザインとサンプリングが行われ、デザイン決定までには配色だけでも50回以上実践で織るなど試行錯誤が繰り返されています。製品は信頼のおける西ウェールズの工場で生産され、発送前には必ず彼女のスタジオで最終チェック、パッキングをするというこだわりです。良いもの、納得できるものを徹底して追求する姿勢は使い手への最大の敬意に他なりません。

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