journal, my favorite ○△□My favorite “The Scent of Mediterranean plants”

サルデーニャに帰る時、飛行機から降り立つと 薫ってくる地中海の植物の香りがたまらなく好きだ。なぜかこの香りは私が育った小さな村 Siligoでの少年時代の記憶へといざなう。ちょうど夜明け前に目覚めた時のこと。キッチンから音が聞こえる。町から戻った父がミルクを温めるために火にかける音。朝露に濡れた草や土の香りが家いっぱいに広がっている。香りと音。知らぬ間に香りと音によって当時の光景が記憶の中に刻みこま れているのだ。香りは夏休みの記憶も蘇らせる。 埃っぽい小道の、村の教会裏にある織物小屋でのこと。織物をする祖母、その手が素早く淡々と織機を操る姿を見ていた。老人の手が織機を操り、細部まで間違うことなく動かせるのが不思議で仕方なかった。動き続ける手から素晴らしいものが生み出されるのをずっと眺めていたい、ただただそんな気持ちになった。私は祖母の前に座って眺めていた。サルデーニャの女性たちが織った床に届く程の長さのプリーツスカート、キャンディーなどちょっとしたサプライズが入っているスカートの隠しポケット、首元に結ばれたハンカチーフ。

そして魔法が始まった。突然布の上で魔法が形になって現れた。狩りをする人、鮮やかな羽根を広げる鳥、艶やかな洋服をまとう人々。その細かな模様、色や形、そして貴重な技術、私にとっては祖母の生み出す織物こそが魔法のように感じら れ、魅せられてしまった。このような経験は全て今の私の仕事に繋がっている。昔の祖母やそのまた母と全く同じように、日常生活の中でのもの作りの欲求が起こる。飛行機から降り立つ時の香りは、少年時代からずっと私の想像力によって秘められていた想いを自然と沸き上がらせる。

 

Written by:Antonello Tedde(Antonello デザイナー)
イタリア・サルデーニャ島出身。イタリアで経済学を専攻、The London College of Fashionでファッション、小売を学ぶ。メゾンブランドでデザイナーとしてのキャリアを積んだ後、エココンシャスな素材を用いた、サルデーニャの女性たちの手織り布による「エコ・ラグジュアリー」なバッグをプロデュース。

doinel journal September 2015はこちら

update: 2015.09.01

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